図書館職員の方々から 自己紹介、図書館の仕事について、本の紹介、など。投稿歓迎です。

 

2019年08月01日   対談: 小澤館長(関戸・東寺方図書館長)x  高野雅子(東寺方図書館友の会)  

 

1. はじめに

東寺方図書館の館長は2017年4月から小澤館長です。東寺方図書館友の会は、2017年8月に発足しました。「友の会」の立ち上げには、小澤館長に色々助けていただきました。

 

2019年3月9日に小澤館長と東寺方図書館友の会のメンバの高野さんの対談が行われました。図書館でのお仕事、東寺方図書館と東寺方のもつ地域性, 「おはなし会」などについて語っていただきました。

 

 2. 対談

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# 小澤館長と東寺方図書館職員の紹介

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0010:高野: 関戸図書館の館長で東寺方図書館の館長も兼任されている小澤さんです。

0020:高野: 東寺方図書館の職員さんのこともご紹介ください。

0030:館長: 4名常駐で、野依、志賀、勝見、渋谷です。

0040:高野: ありがとうございます。

 

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# 小澤館長の経歴

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0050:高野: 小澤館長の簡単な自己紹介をお願いいたします。関戸図書館にいらっしゃる前はどこにおられましたか?

0060:館長: 関戸図書館の前は本館の「子ども読書支援係」にいました。その前は、本館の「企画運営係」にいました。

 

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# 東寺方図書館でのお仕事

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0070:高野: 館長さんのお仕事、どんな感じですか?

0080:館長: 多摩市の図書館はシフトを組んで開館業務を行っています。この為、東寺方図書館では土曜日・日曜日は市内の別の図書館から応援職員も来て運営します。私もカウンター要員として土・日勤務しています。平日は関戸図書館に勤務しています。職員はローテーションを組んで、カウンターとバックヤードと、どちらの業務にも当たっています。私は、平日はほぼデスクワークの仕事が主です。

0090:高野: 本の整理などもするのですね。

0100:館長: 本は配架したらしっぱなしというわけにはいかないので、日々手入れをしなければいけないですね。

0110:高野: 関戸は職員の方は何人ですか?

0120:館長: 職員は11人です。

0130:高野: 関戸図書館は駅に近くて便利ですね。

0140:館長: そうですね。駅に近いので何かのついでなどでご利用いただくことも多いです。

 

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# 東寺方図書館と子どもたち

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0150:高野: 東寺方図書館をこの先どうしたいと思っていますか? この頃利用者は増えているのですか?

0160:館長: 貸出冊数も統計を取っていますが、増減しながら全体的に見ると多摩市全体で下がり気味です。この為、新しいシステムの導入や図書館ホームページの充実など、様々な取り組みをしています。

0170:高野: 東寺方図書館は7館の中で規模も小さいですが、東寺方図書館のある子どもたちは恵まれていると思います。近くに第二小学校、東寺方小学校があり、そこから子どもの足でも歩いて5分くらいのところに東寺方図書館はあります。下の児童館もそうですが、2つの小学校の子どもたちが混ざって図書館で遊んでいたりする。そういうのを見ると良いなと思います。

0180:高野: 私もここをよく利用するのは「歩いてこられる」からです。それこそ関戸図書館の方が大きいし、本もたくさんあるけれど、ここには歩いてこられる。そして、ここの図書館に探している本がなくても予約して取りよせてもらうことができる。このようなサービスはすごく良いと思うし、近所の子どもたちは幸せだなと思います。

0190:館長: ありがとうございます。

0200:高野: だから、是非、ここを子どもたちにとって(ますます)使いやすい図書館にしてもらいたいと思っています。

 

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# 「おはなし会」にもっと来てほしい!

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0210:館長: 東寺方図書館が「こうなったら良いのに」と思う点はありますか?

0220:高野: 何か取り上げてというと思いつかないです。でも、子どもたちがおはなし会になかなか来てくれないのはどうすれば良いかなと思っています。おはなし会の時は図書館の方が下の児童館の子どもたちに声をかけてくれているのですが。ここは、図書館と児童館が同じ建物にあるというのが便利と思います。

0230:高野: 東寺方の秋祭りの時のおはなし会では子どもたちは食事をしながら聞いているのですが、食べながらでも子どもたちはお話を聞いてくれているので、図書館に興味を持ってもらうには良いイベントかと思います。

 

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# 「図書館友の会」について

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0240:高野: このインタビューは「東寺方図書館友の会」の主催で行われています。多摩市内で初めて「図書館友の会」ができたのですが、「友の会」のことを、どのように思われていますか?「友の会」としては図書館ともっと親密になって一緒に何かできたらという発想もあるのですが、どうやったら良いのかまではわからない。どうしたら良いでしょう?

0250:館長: 私も長年図書館に勤務していましたが、今まで「友の会」ができる気配がなかったところで、ちょうど「友の会発足」という場に行きあたりました。確かにアメリカなどですと「友の会」はよく認識されている文化と思うのですが、日本ではまだですのでこれから作り上げるものかなと思います。

0260:館長: ちょうど今年度(平成30年度)、豊ヶ丘でも「豊ヶ丘図書館友の会」ができました。そちらの「友の会」活動内容は東寺方とはまた違うスタイルのようです。やはりせっかく複数の地域で友の会ができるのであれば、地域性を持った形でも良いのではないかなと感じています。

 

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##  東寺方のもつ地域性(1)

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0270:高野: 東寺方図書館の家庭的な雰囲気、広さも含めて、家庭的な雰囲気だからこそ、地域の人と図書館とが一緒に協力し合ってできることがあるといいと思います。

0280:館長: なるほど。例えばなんですが、図書館でもその時代時代で課題を考えながら取り組んでいくわけです。今ですと、例として中・高・大学では今までの座学に対しての「アクティブ・ラーニング」をよく耳にします。先生が話すのをただ生徒が聞くだけでなくて、何かテーマを持って子どもたちが自らで話し合ったり調べたりする学習の形です。そのような場が私立の大学などですと、とても立派な施設・図書館が建設されるなど、学生のためのスペースができあがります。しかし、公立の中学校、高校ではなかなか難しい。どうやって対応するか?これが一つの課題としてあります。現実問題として、ガラス張りの音の漏れないアクティブ・ラーニングに適したスペースを作るのは難しい。どうやってそのようなスペースを作るのかはこれからの試行錯誤でやっていくことになると思います。市内では、これから再構築する新本館図書館のように、ハードも踏まえて考えられるところもあれば、そうはいかないところもある。では、そうはいかないところではどういう工夫ができるのか。今、そこに頭を悩ませているところです。

0290:高野: そうですね。

 

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##  東寺方のもつ地域性(2)

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0300:館長: 東寺方図書館でいうと、ワンフロアで小さな子どもたちもいれば静かに勉強したい大人もいる中で、「おはなし会」などで少し盛り上がっても少なくともこの2年間で苦情は上がっていない。それはどうなのでしょうね。大人は全く気にしていないのか。「おはなし会」という時間限定の場で、子どもの学びがあると理解してくれているのか? 比較的東寺方の地域性として、そういう意識を持っているからかなと分析しています。図書館の中でも地域の見守りがあるのではないかなと。そうであれば、地域の助けを図書館の活動の中に取り入れさせもらえるのであれば、それはありがたいなと。そういうことは感じています。

0310:高野: そうですね。それは私も感じたことがあります。図書館職員の方が「おはなし会」の前に一言声をかけていてくれたこともあって大人の方が理解してくれていたのかもしれません。その時はすごくありがたいと思いました。子どもも図書館に嫌な思い出を作らなくて、この先も本に親しんでもらいたいと思ったし、こういう空間、こういう環境だから、ここの地域性かなとちょっと感じましたね。

0320:館長: おはなし会以外でも、親御さんが注意していても、子どもさんが元気でちょっと走り回ってしまう場面もあるのですけれど、それで苦情がきたということは私も経験していないし、報告も出ていないので日常的にそういうご理解があるのかなと思います。

0330:館長: ここの地域性として、お互いの思いやりがあるのかなと。大人は学びの場という思いやりがあるし、子ども連れの親御さんは「騒いではいけない場所」ということをお子様に教えているという、お互いの思いやりや配慮があるのかなと感じます。

 

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# 「キンダーブック」についての思い出

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0340:高野: 話は飛びまして。小澤館長の好きな本とか趣味などをお聞かせください。

0350:高野: タウンニュースに図書館職員さんの「お薦め本」が紹介されていますね。知っている図書館職員の方の紹介が載っていないかなと時々見るのですけど。志賀さんの「お薦め本」がいつか出ていましたね。「小澤館長のは出てこないかしら」と見たりしています。

0360:館長: あれは図書館員職員全員で持ち回りで書いていまして、私は比較的早い順番で回ってきました。子ども読書支援係の時に当番が来たので2年以上前です。当時は小学生の夏休みに向けて紹介するブック・リストを作っていたのでその中から紹介しました。

0370:高野: 小さい頃から本がお好きでしたか? 

0380:館長: 自分の中で記憶があるのは幼稚園の時に親が「キンダーブック」を買ってくれたことです。その絵本が好きだったのですね。図書館の仕事についてから「あの絵本やあの話は何だったんだろう」と気になっていましたが、国立国会図書館都立図書館に研修で行く機会がある中で「キンダーブック、これだったんだ」という発見がありました。それが懐かしかったですし、「こういうものに触れていたんだな」ということを大人になってから感じました。小学校の時は読書の時間が一番好きだったようです。

0390:高野: やはり文学少女だったんですね。

0400:館長: 借りて読むまではしませんでしたので、文学少女とまでは…。こんなエピソードがありまして、読書感想文が宿題になった時に親が買ってくれた本を読み始めると、ご飯の時間にも来ないとすごく怒られたことがありました。最後まで読みたくなってしまって。

0410:高野: 本に夢中になって、お母さんが呼んでいる声も聞こえなくなってしまうのですね。

0420:館長: そうはいっても中学校になってからは部活などで、放課後に図書室に行く時間もなくなりました。本を借りても、読めずにまた返すとことになっていきました。やはりティーンズとかヤング・アダルトと呼ばれている世代が図書館離れになってしまうというのは、今、課題になっていますけれど、実は以前からそういう傾向はあったのだと思います。

 

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# 好きな本は?

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0430:高野: 音楽とか趣味についてもお聞きしたいのですが。

0440:館長: 色々と興味があるので、この分野がとは上げられないですね。お勧めの本を聞かれる時も、気になる本がたくさんあります。仕事柄本の情報も入るし、自分でも新聞の書評や広告に目を通します。それで、「こんな本があるんだ」とか、「この本はこんなふうに評価されているんだ」とか、「こんな新しい作家さんが出たんだ」等情報は色々入ってくるので、あれもこれも興味深いのですけど、残念ながら今はほとんど読む時間はありません。書評を書く段になって急いで読破します。

0450:高野: 時間が倍くらい欲しいですね。

0460:館長: 欲しいですね。塩野さんの「ローマ人の物語」が出版された時に「年に1冊は出します」というお話をされていたので「私も1冊読もう」と思っていたのですけれど、最初の3冊くらいまでで追いつかなくなってしまいました。それで「これ読みました。すごく面白かったですよ」というような紹介はなかなかできなくて心苦しいのですが、読んでみたいと思っている本は、沢山あります。

0470:高野: いろいろ本の知識はたくさんお持ちですから、そういうことについて聞きたいですね。

0480:館長: もっと深掘りしなくてはいけないかなと反省もしています。

 

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# 好きな音楽は?

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0490:高野: 音楽についてはどうですか?

0500:館長: 音楽はそうですね。なんでも影響されてしまうので、小学生の時は授業で音楽の先生がクラシックを紹介してくださるので、 友達と「ベートーベンっていいね!」とか、「シューマンっていいね!」とか、言い合っていました。中学に上がってピアノを習っている友人ができると, それに影響されて「ショパンがいいね!」とかいい出したりして。なけなしのおこずかいをはたいてレコードを買いました。そして、英語を学び始めると 今度は「英語の歌がいいね」と思ったり。もう色々です。また、古いの大好きな人間なので50年代の洋楽から好きです。

 

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# 小澤館長のこれから

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0510:高野: では、「これからの小澤館長」のことについてお聞きしたいと思います。

0520:館長: これからのことですか。日々、目の前の仕事のことで精一杯です。いろいろ取り組まなくてはいけないと感じている課題があります。自分としての取り組みもあるし、図書館としての取り組みもあるし。それは東寺方図書館としての取り組み、関戸図書館としての取り組みもあります。 その中で、毎日締め切りの近いものから取り組んで片付けています。そのため、最近、近視眼的になっているのではないかと心配になることもあります。「もっと長期的な視野を持って動いていきたいな」というのもあるのですが、まだこれからです。

 

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# 関戸図書館と東寺方図書館: 二つの性格の異なる図書館館長を兼任すること

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0530:高野: 関戸図書館と東寺方図書館と性格の異なる二つの図書館の館長を両方兼任する大変さはありますか?

0540:館長: そうですね。同じようにはできません。例えば関戸図書館でうまくいったからといって、それを東寺方図書館にも当てはめればいいとか、そういうふうには全然いきません。やはり二館持っていると二館分のことをやっていかないと、と感じています。それだけ辛いなと思うこともありますが、それだけに、関戸図書館のような駅近くの図書館を拠点館と言うのですが、拠点館には拠点館のあり方があるのだなとか、東寺方図書館のような地域館には地域館としてあり方があるのだなということを、実感として持てているのかなという気はします。そのため、それぞれのやり方の中で市民の方の幅広いニーズに色々な切り口から、例えば関戸ではこうやっていこうとか、東寺方からこうやって進めていこうということを、広い視野で取り組んでいければいいなと。そして、こういった自分の経験とか、考えたこと、感じたことを図書館全体の運営の中に反映させていけるといいなと思っています。そういった場では、そういったことを情報としてあげていきたいと思っています。

0550:高野: その細いお体で二つ分の仕事をしているみたいな感じで。

0560:館長: 目の前で見ていないと気がつかないことっていっぱいあります。ですので、あっち行って、こっち行って、例えば、午前中は東寺方で話を聞いて、午後は関戸に戻って話を聞いたり、様子をみたりします。やはりそこにいる職員が色々見て感じることを意見としてあげてくれることで、やっと総括できていると思います。 自分一人では、とてもできないと感じています。やはり職員ありきなのでしょうね。図書館というのは。

 

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# おしまい

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0570:高野: 今日はありがとうございました。

0580:館長: ありがとうございました。

 

3. 最後に

3月末まで東寺方図書館勤務だった野依さんが、4月から本館図書館に移動となりました。今まで、東寺方図書館では、ありがとうございました。

 

今年度4月から東寺方図書館に常駐してくださるのは、志賀さん、勝見さん、渋谷さん、佐藤(照)さんの方々です。よろしくお願いいたします。(櫻井清蔵記)